「DHC 薬用リップクリーム」の成功要因をID-POSデータから分析:後編~『Designers Eye』が可能にした複眼的視点~

前回に引き続き、今回もTrue Dataの購買データ分析と、CREMUのSNS解析及びクリエイティブデザインのノウハウを組み合わせたサービス 『Designers Eye(デザイナーズ アイ)』を用いて、「DHC 薬用リップクリーム」の成功要因を分析して参ります。今回はSNSデータ分析から、「DHC 薬用リップクリーム」の成功要因を深堀します。

購入者の「DHC 薬用リップクリーム」への認知イメージ

『Designers Eye』ではSNSデータから特定商品に関する発言を解析することで、顧客の商品に対する認知イメージや利用シーンを調べることが出来ます。 今回はDHC 薬用リップクリームで、2017年の1年間を対象に「DHC 薬用リップクリーム」に関するツイッター上での発言を分析しました。

「DHC 薬用リップクリーム」に関するツイッター上での発言

出典:SNSデータより集計 (CREMU DESIGN社)より

上の図は、twitter上でのDHC 薬用リップクリームに関する発言の中から頻出単語を抽出し、関連性が高い単語同士を近づけ、頻度が高い単語を大きく表示しております。 DHC 薬用リップクリームに関連する単語としては、「ディズニー」、「マリー」、「可愛い」、「数量限定」がツイートされた頻度が高いことがわかります。 これは、ディズニーとのタイアップで期間限定発売されたディズニーデザインのリップクリームへの反響が大きいことがわかります。

DHCは元々商品単体での積極的な広告活動は行わず、ディズニーとのタイアップ商品等企画商品を利用した店頭プロモーションに力を入れています。期間や数量限定でこのような企画商品を販売することで、購入者層拡大やブランドの鮮度維持に成功しています。

では、ディズニーデザインのリップクリームに関する様々な顧客の声と購入者数の関連性を検証してみましょう。

様々な顧客の声と購入者数の関連

出典:国内ドラッグストア及びスーパー各社ID-POSデータより集計 (True Data社)より
出典:SNSデータより集計 (CREMU DESIGN社)より

これは、ディズニーデザインに関するツイート数とディズニーデザイン商品の購入者数をまとめたグラフです。このグラフでは、4月の購入者数を1とし、4月から10月までの各月の購入者数を指数化しています。8月以降、ツイート数の上昇に合わせて購入者数が伸びていることがわかります。 この結果より、ディズニーデザインの商品を通じてディズニーの主要ファン層である10代~20代女性顧客層を獲得したことが、他ブランドより若年層ユーザーの割合が高い要因だと考えられます。

このように顧客の声の内容や発言の時期を分析し、実際の販売データと照らし合わせ関連性を調べることで、事象の原因を深堀することが可能になります。

コンセプトと顧客層の嗜好をパッケージデザインに反映することで、消費者により明確なメッセージを送ることが可能に

これまで、ID-POSデータとSNSデータから「DHC 薬用リップクリーム」の成功要因を見て参りました。一方で、販売の改善に繋げるには、消費者へのコミュニケーション手法、つまりデザインをはじめとするマーケティング活動が重要です。

『Designers Eye』ではID-POSやSNSから導き出された分析結果に基づき、パッケージやプロダクトのデザインをご提案することも可能です。

パッケージやプロダクトのデザイン提案

前回のブログの中で、「DHC 薬用リップクリーム」の主な顧客層は30代~40代の女性であることをお伝えしました。 これは、ブランドが目指すターゲット層とも一致しています。

加えて、ディズニーデザインの企画商品を通じて、10代~20代女性層の獲得にも成功しています。では、今後ブランド維持と収益拡大を実現するには、どのようなアプローチが考えらえるでしょうか。

『Designers Eye』では、製品コンセプトと対象顧客という2軸に基づき、デザイン提案をすることが可能です。こちらの提案例は、SNSなどから得た顧客インサイトを基にターゲット設定とデザイン提案を行っております。

  • ②のデザインは、従来と同じコンセプトで、従来と比べ若干高年齢層をターゲットとしたより落ち着いた色合いのデザインとなっております。
  • ④のデザインは、従来にはないできる男のリップクリームというコンセプト及びターゲットをイメージしたデザインをご提案しております。

②につきましては、同ブランドの訴求点である「うるおい」がSNS上で高めの年齢層の方々にも支持されていること、そして④につきましては、リップクリームは男性にもニーズはあるもののデザインが女性的で手に取りづらいというSNS上での声(ニーズ)を踏まえ、デザインを提案させていただきました。

このように、『Designers Eye』では複眼的な視点から商品デザインを検討しご提案することで、対象ブランドの強みを維持しつつ新たな顧客層を開拓するご提案を行えます。

『Designers Eye』は他のB2C向け製品でも分析可能

これまで2回にわたり『Designers Eye』を使って、「DHC 薬用リップクリーム」の成功要因を分析してきました。『Designers Eye』は医薬品だけではなく、飲料、菓子、トイレタリー商品、化粧品といった一般消費者向け商品の分析も可能です。

次回以降のブログでも、様々な業界向けの分析事例を紹介していきます。