CREMU DESIGNでは、コロナ禍による消費活動への影響と、影響を強く受けた商品やサービスを政府の各種統計とID-POSデータから消費者の購買行動を分析するTrueデータから dataのEagle Eyeを使って分析してみました。その結果、意外にあの商品が売れていたり、コロナ禍が進行するにつれてこの商品の売り上げが減少していたことが分かりました。今回は、消費活動の影響とコロナ禍の影響で売れた商品や売れなかった商品を紹介していきます。動画版もありますので併せてご参照ください。
動画版:(クリックすると動画が再生されます)
コロナ禍で経済活動は軒並み停滞の中、インターネット消費は健闘
まずは政府のマクロ経済統計から、コロナ禍による家計への影響を見てみたいと思います。内閣府が発表した2020年1Qの日本の実質GDPは524兆8,550億円で、前年比97.8%(-2.2%)と減少を見せました。
さらに、GDPの中で個人消費に着目してみると3月以降の消費支出は、2人以上の世帯で見てみると2020年3月は前年比で94.5%、2020年4月は前年比89%と二桁の減少でした。統計を見ると、新型コロナウイルス対策の特別措置法が成立した3月13日以降に特に個人消費が落ち込んでいるのが見られます。
一方、外出自粛の中で健闘したのが、インターネットによる消費支出です。2020年4月の消費支出は実質GDPや消費支出が前年比で減少する中で前年比で105.9%と増加を見せています。外出自粛で家に居て消費できるインターネット消費が増えたことが伺えます。
コロナ禍でマスクの購入額は3月に前年比大幅減少
では、個々の商品の売り上げがどうなったのかを、代表的な商品を取り上げて見ていきましょう。まずは、コロナウィルスで外出の際には必需品となったマスクですが、意外なデータを示しています。2020年に入ってからの購入額を前年比で比べてみると、2020年1月は前年比206.9%と大幅増でしたが、2月は前年比110.3%。3月に入ると前年比減に転じ、前年比56.4%という大幅減になりました。1月24日付朝日新聞デジタルの記事によると1月に「マスクあるだけ持ってきて」というような爆買いが起きたようです。一方、4月には前年比120.3%であり、購入額も昨年とは異なり前月比増になっています。3月の前年比減の要因は需要が減ったわけではなく、マスクの供給が追い付かなかったからであると言えるでしょう。
うがい薬の購入額は大幅増
一方、コロナウィルスで購入額が大きく増加した商品の一つが、うがい薬です。感染防止策の1つとしてうがいが奨励された影響で、うがい薬の売上は2020年2月の3,668万円をピークに、4月まで2,000万円以上を記録しました。前年比で比較してみると、2月~4月に前年比2倍以上と大幅増となっています。
STAY HOMEの影響が出た商品は?
在宅勤務や休校の影響で家で食事をとる機会が増えた方が多いと思います。家で食事をする機会の増加は、商品購入額のデータにも現れていました。レトルトカレー等の調理品の購入額は、2020年2月~4月の各月は前年比110%以上増加しました。3月11日付の山陽新聞デジタルの記事によると、即席めんやレトルト食品が休校となった子供の昼食や外食を控える動きで需要が伸びたということです。
マスクとの相性が悪く、購入額が大幅減となった商品
一方、マスクとの相性が悪く、購入額が大幅減となった商品は口紅とファンデーションです。外出時のマスク着用が原因か、口紅とファンデーションの購入額は下表のように前年比で大きな減少を見せています。毎日新聞や日経ビジネスの記事によると外出自粛の影響が大きいとのことです。口紅とファンデーション共に、3月13日の新型コロナウイルス対策の特別措置法成立から特に購入額の落ち込みが目立っており、緊急事態宣言の解除と都道府県をまたぐ移動の解除がなされた6月下旬以降、購入額が回復するかが注目です。
コロナ禍の影響で売上を伸ばした商品と減らした商品の特徴は?
ここまで分析から、売上を伸ばした商品と売上が減少した商品の特徴に傾向があることが分かってきました。
売上を伸ばした商品の特徴として、以下のような特徴の商品が挙げられます。
- 感染防止に直接役立つ商品 (マスク、うがい薬、殺菌消毒剤など)
- 巣ごもり生活で増える家での食事を楽しむための商品 (調理品、ケーキミックスなどプレミックス商品)
一方、売上が減少した商品の特徴は、以下です。
- マスクとの併用が難しい商品(口紅やファンデーションなどの化粧品)
- 外出や旅行時に使用する商品(酔い止め薬、日焼け止めなど)
緊急事態宣言の解除されましたが、依然としてコロナウィルス対策が必要となっており、上記の傾向がこれからも続くか、それとも外出自粛の解除で従来の傾向に戻るかが注目されます。
今後需要が増えそうな商品やサービスは?
上記商品の傾向を踏まえ、今後需要が増えそうな商品やサービスを考えてみました。例えば、ジムなど人が密集・密閉する場所へのアクセスが制限されることが想定されることから、自宅でできるエクセサイズグッズ、特に狭いスペースでも楽しめるグッズへの需要が増えると考えられます。例えば以下のような商品です。
また、今後も仕事やプライベートを自宅で過ごす機会が多くなることを想定され、自宅のリノベーションへの需要が増えると考えられる。例えば以下のような園芸グッズです。
さらに、「三密」の条件を充たすことが多いバーに代わり、家で自らカクテルを作り「おうちバー」を楽しむお酒好きが増えてかもしれず、以下のようなグッズも売れるかもしれません。
コロナ禍で売れている商品、売れていない商品の分析から、いろいろなことが見えてきました。今後のビジネスの参考になれば幸いです。
(今後需要が増えそうな商品やサービスは?の出所はFerret 社「コロナの影響で需要が高まる事業は? (2020/4/6)」より参照しました。)