CREMU DESIGNでは、Twitter上の声を分析することで、世間で話題になった商品や気になるブランドに対する生活者の感じ方や活用といった実態をご紹介しております。第7回目の今回は、2017年より巷で言われている「冬にアイスの売上が伸びる」の実態を、プレミアムアイスクリームの代表的なブランドである「ハーゲンダッツ」の商品に関連するツイートより検証していきます。一般的にアイスクリームといえば暑い季節に食べるイメージが強いですが、今秋から冬にかけ、ハーゲンダッツの代表商品である「ミニカップ」に対し生活者たちはどのように反応したのでしょうか?
特定週に大きく伸びる、「ハーゲンダッツ」関連の呟き
まず、2018年10月~12月の「ハーゲンダッツ・ミニカップ」に関する週別のツイート数推移を見てみましょう。上のグラフから分かるように、対象期間内のツイート計10,900件のうち、10/15週、10/29週、12/3週の3週にツイートが集中しています。この期間のツイートは計7,680件で、対象期間内の全ツイートの約70%に当たります。なぜ、これらの3つの週にツイートが大きく伸びたのか、その原因を探っていきます。
消費者は、「期間限定新製品」と「キャンペーン」に反応
10/15週、10/29週、12/3週の3週について、ハーゲンダッツは以下の告知を行っています。
■ 10月18日:ミニカップ『カスタードプディング』期間限定発売を告知する公式twitter
https://twitter.com/Haagen_Dazs_JP/status/1052756153569091584
■ 10月29日:ミニカップ『和みあずき』期間限定発売のフォロー&リツイートキャンペーン
http://rt.haagen-dazs.co.jp/nagomiazuki/#
■ 12月3日:ミニカップ『カスタードプディング』期間限定発売開始を告知する公式twitter
https://twitter.com/Haagen_Dazs_JP/status/1069788381029253122
これらの告知を受けて、Twitter上では「ハーゲンダッツ・ミニカップ」に関するツイート数が爆発的に増加し、消費者が反応していることが分かります。
グラフからもわかるように生活者は上記告知の当日に直ぐ反応しており、「メーカーの告知」→「生活者の反応」と直ぐにわかるSNSの特性を活用したマーケティングを行っていることが分かります。このようにツイート数が増加した要因としては、以下のように生活者に「限定感」と「インセンティブ」の両方を提供したことがあります。
- 限定感の提供:以前販売していたときに購入者からの評判が高かった『カスタードプディング』と『和みあずき』の期間限定発売告知を通じて、ハーゲンダッツのファンに期待感と同時に「限定感」を提供したこと。
- インセンティブの提供:限定感だけではなく、期間内にハーゲンダッツの公式Twitterアカウントをフォロー&リツイートした人の一部にギフト券プレゼントとすることで、得をしたいという生活者のニーズを刺激するだけでなく、フォロワーを獲得することで今後のキャンペーンにおける効果性を高めることを狙いとしている。
まとめると、ハーゲンダッツの事例は、「季節を問わずアイスクリームを食べたい人たち」に焦点を当て、期間限定販売とすることで「販売されているうちに食べたい」というターゲットのニーズを通じて関心を高めた成功事例だと言えます。
消費者は「期間限定商品」の復活に期待していた
Twitter上の呟きをさらに分析すると、生活者はメーカーの告知に反応するだけではなく、期待感を呟きで表現しております。例えば10/18の『カスタードプディング』に対しては、以下のような反応が出ています。
また、10/29の『和みあずき』キャンペーンと、12/3の『カスタードプディング』期間限定販売開始についても以下の反応が見られます。
結果として、『和みあずき』キャンペーンでは、「家でぬくぬくしながら」「コタツで食べたい」といった冬にアイスを食べることを示唆した反応が多く挙がっており、冬に食べるデザートの代表格であるお汁粉からあずきを連想しやすいことも、『和みあずき』と冬がイメージしやすい一因かと考えられます。
『カスタードプディング』期間限定販売開始では、冬のアイス需要というよりこの商品の味そのものに惹きつけられたファン、そして実際に食べて好きになったファンが多いことが伺えます。カラメルソースのほろ苦さとカスタードのハーモニーが好評なようです。
SNSとの相性がよい、期間限定商品
このようにTwitterを使った告知キャンペーンは大きな反応を見せたのですが、通常製品に対する反応と比較するとどうなのでしょうか?ハーゲンダッツの通常フレーバー(バニラ味、マカデミアナッツ味、ストロベリー味、リッチミルク味)と期間限定商品(カスタードプディング味、和みあずき味)へのツイート数を比較してみました。
グラフからわかる通り、既存の4商品に比べ、期間限定商品の『カスタードプディング』と『和みあずき』のツイートが際立って多いことがわかります。このグラフからも期間限定商品はSNSを使ったマーケティングとの相性が良いことが伺えます。これら期間限定商品へのツイートが伸びた要因として、
- レア感の醸成:限られた期間でしか買えないレアさと「フォロー&リツイートキャンペーン」の相乗効果
- 味への高評価:特に『カスタードプディング』については、期間限定に加え味もツイートが増えた要因です。「復活して欲しい商品ランキング」で断トツだったことも、味が支持されていることの証明と言えます
- 配信のタイミング:和みあずき』に関しては、あずきという食べ物が冬やお汁粉を連想させることも冬の限定商品として効果的であり、ファンからのツイートを集めた要因の1つと考えられます。
の3つが挙げられます。結果、
- 商品そのものが持つ価値(味)
に加え、
- キャンペーン対象の的確さ(タイミング)
- 今後のプロモーション効果UPに効果的なキャンペーン企画(レア感)
を出したことが、「ハーゲンダッツ・ミニカップ」へのTwitter上の反応が増えた要因であると考えられると思われます。